イオン液晶の多様な形態を超分子的な手法を用いて創製することを目的に研究を行った。イオン液晶性分子を多段階の合成工程を経ることなく、少ない工程数で基本骨格となるパーツを合成しておき、これに分子間相互作用により、他のイオン性分子を超分子的に組み込み、様々なイオン液晶を効率よく創製する手法の開発が主眼である。以下の3つについて研究を行った。 (1)水素結合性超分子イオン液晶の開発:イミダゾリウム基を有するピリジン誘導体を水素結合アクセプターとして、種々の安息香酸誘導体との水素結合により、超分子イオン液晶を創製した。用いる安息香酸誘導体の長鎖アルキル基の数、イミダゾリウム基の置換位置に依存し、スメクチック相、カラムナー相、キュービック相が発現した。 (2)ナノ空孔を有する超分子スクエアー型液晶の創製:長鎖アルコキシ置換基を有する安息香酸誘導体2分子をリンカーで連結した化合物は水素結合により2分子で集合し、スクエアー型の中央にナノサイズの空孔を持つカラムナー液晶相を発現した。安定な液晶相を与えるリンカーの構造についても検討した。また、この空孔内にベンゾニトリル等の芳香族化合物を取り込むことに成功した。 (3)イオン液体の取り込みによるイオン液晶の創製:オリゴエチレンオキシド鎖を有するトリフェニレン誘導体によりイオン液体を取り込み液晶化に成功した。また、種々リチウム塩の取り込みも行い、安定なリチウムイオン含有カラムナー液晶相の創製も行った。
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