本研究では、フラーレン-ジアミン付加体微粒子の反応機構の解明と粒径・形状・組成制御、付加体微粒子およびその集積体の構造 と特性の相関の明確化、これらの新材料のデバイス応用を目的として検討を進めてきた。これらのうち、平成25年度は、これまでに得られた知見を基に、1)フラーレン-ジアミン付加体の構造と半導体特性の相関、2)フラーレン-ジアミン付加体のフィルム状集積体の作製条件の探索と評価、を中心とした研究を行った。 まず、1)については、a)ジアミン鎖長によってフラーレン間の距離が制御された付加体を可溶化し、有機薄膜太陽電池を構成するn型有機半導体材料として適用可能であること、b)可溶化剤として用いたアルキル酸クロリドの構造によって付加体の製膜性が大きく影響されること、等を見いだした。これらの材料の電気化学測定や電子デバイス特性を基に、付加体の構造と製膜後のモルフォロジーと光電変換特性の相関など興味深い知見を得た。2)については、昨年度までの成果に加えて、a)界面を利用したフラーレン-ジアミン付加体薄膜の形成、b)フラーレン-ジアミン付加体の均一溶液からのソルベントアニーリングによる製膜、などが可能であることを見いだし、特に後者は有機薄膜太陽電池の構成部材として機能することを実証した。それぞれ学会・シンポジウムなどでの報告を行うとともに、学術論文として投稿中あるいは投稿準備中である。
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