研究課題
分子電子スピンをもちいた量子コンピュータを目指し、2量子ビット系よりも大きな3量子ビット系、4量子ビット系の構築と系のキャラクタリゼーションを行った。ニトロキシドラジカルをラジカルユニットとした擬3回対称性をもつ弱交換相互作用系トリラジカル、正方対称性をもつフタロシアニン誘導体テトララジカルを合成した。トリラジカルに関しては非磁性ホスト分子をもちいた希釈単結晶化に成功し、静磁場角度依存性を示すESR測定の予備的な解析の結果、3量子ビット系として機能することが分かった。つまり、配向した分子に対して3つの量子ビットに別々にアクセスすることができることを示すことができた。量子ビット間の相互作用の大きさを調べるためにパルスESR測定を行い、予備的な解析の結果、3スピン系であることを反映して、静磁場配向に依存して複数の双極子相互作用を確認した。これらの結果は、3量子ビット系による量子演算の可能性を示している。テトララジカルに関しては溶液ESRの解析の結果、ESRスペクトルの完全解析に成功し、交換相互作用を含むスピンハミルトニアンパラメータを決定した。窒素核との超微細構造定数は1.433mT、交換相互作用は辺方向10.8MHz,対角方向20.0MHzであることがわかった。スピンハミルトニアンが決定されたのでスピン状態、遷移確率を計算で求めることができる。溶液での多数あるESR遷移の帰属ができたので、それらのESR遷移を利用する量子シミュレータとしての可能性を検討することができる初段階に入ることができた。
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