研究概要 |
軸不斉を有するキラル補助基としてビナフチル基を結合させたフルオラスレゾルシンアレーンを用い,フルオラス溶媒中で不斉空孔を持った6量体分子カプセルを自己組織化により形成させることができた。この不斉空孔を有する6量体カプセルにより,ゲスト分子のエナンチオ選択的な包接が実現された。R-配置のキラル補助基が結合したフルオラスレゾルシンアレーンと置換基を持たないものを1:5の割合で用いた場合には,S-配置の2,2'-ジメチル-1,1'-ビナチルがゲスト分子としてエナンチオ選択的に包接され,最高76%eeでフルオラス相の6量体カプセルから回収された。すなわち,フルオラス溶媒の特徴を活用することにより,包接されたゲスト分子とされていない分子を抽出溶媒の選択により簡単な分液操作だけで分離(光学分割)することができることから,このカプセルは新規な光学分割剤となる可能性が示された。しかし,今後より一層の再現性の向上が必要である。
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