研究課題
本年度は、昨年度合成した自己集合性2光子吸収色素「ヘキサアザトリフェニレン・トリフェニルアミン」の新規誘導体の合成を行った。更に、昨年度合成した自己集合性アクセプター分子「ビス(チアジアゾロ)キノキサリン」にトリフェニルアミン部位を導入した新規ドナー・アクセプター分子の合成にも着手した。昨年度合成したヘキサアザトリフェニレン・トリフェニルアミンは高い分子対称性を有するため、自己集合に基づく2光子吸収特性の向上は著しいものではなかった。今回は2光子吸収特性の大きな向上を目的として、非対称型誘導体の合成を行った。合成中間体であるフェナンスレンジオンにアミン・ドナー部位を1個のみ導入し、ヘキサアミノベンゼンと縮合させることで、3個のドナー部位を非対称に配置した新規誘導体の合成に成功した。目的物の精製は、カラムクロマトグラフィー及び分取式高速液体クロマトグラフィーで行った。単離精製した目的物の同定は、各種スペクトル測定(核磁器共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル)及び元素分析により行った。吸収・蛍光スペクトル測定及び質量スペクトル等の結果より、本ドナー・アクセプター分子が自己集合特性を有することが判明し、今後、Z-Scan 法による2光子吸収特性の評価を予定している。種々の芳香族ジケトンとジアミンとの縮合反応を鍵過程として、アミン部位を有するビス(チアジアゾロ)キノキサリンの合成に成功した。本ドナー・アクセプター分子も、自己集合を有することが判明した。ヘキサアザトリフェニレンと比較して、ビス(チアジアゾロ)キノキサリン母体は低い対称性を有するため、自己集合により2光子吸収特性の大きな向上が期待できる。今後、上記と同様に2光子吸収特性の評価を行う予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Tetrahedron
巻: Vol. 69, No. 1 ページ: 29-37
DOI:org/10.1016/j.tet.2012.10.070