研究課題
(1)両端にフリーベースポルフィリン・亜鉛ポルフィリンを結合したピンセット型分子の合成を行った。この分子は、ポルフィリンジカルボン酸のモノエステルから出発して、アミド結合生成を逐次的に繰り返すことで合成できた。ピンセットの接合部としては、トリメチレンジアミンを用いた。ポルフィリンの両側に異なる置換基を適切に導入するため、アミノ基の保護基としてBocとZを使い分けて合成を進めた。最後に、両末端の保護基を同時に切断することにより、本研究でターゲットとする両末端に異なる官能基を持つピンセット型分子に誘導することができた。(2)さらに、ピンセットのロッド部分を延長した分子の合成法を確立した。延長部分としてp-ベンズアミドの二量体を採用した。剛直なベンズアミド部分は溶解度が低いため、側鎖を種々検討したところ、10-ウンデセニル基を用いれば十分な溶解度が得られることがわかった。ベンズアミド部の結合生成は、各種縮合剤を比較した結果、BOP-Clが最も優れていることがわかった。この分子の合成では、(1)の分子に比べてカルボン酸の保護基をもう一種類導入する必要が生じたので、2-メチルスルホニルエチル基を保護基として利用した。また、ベンジルエステルの塩基加水分解による脱保護に伴って、ベンズアミド部分の結合が一部切断される副反応が発見されたが、この副反応は、塩基の等量と反応温度・時間を注意深く調整することによって回避できることがわかった。
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