研究概要 |
(1) 両端にフリーベースポルフィリン・亜鉛ポルフィリンを結合したピンセット型分子で、両端に正負の電荷を導入したものについて、吸収・発光スペクトルの測定を行った。試料調製の方法によってスペクトルの変化が観測され、とくに脱水の程度によって大きな変化が見られることがわかった。試料に水が含まれている場合、分子内の正負の電荷に電離した水のイオン(H+, OH-)が対イオンとして存在していることが示唆された。 (2) 外部電場の引加下でスペクトルを測定するため、2枚の透明電極に試料をはさむ形の特注セルを製作した。実際に試料をはさんで電場を加えたところ、電極間の短絡が問題となったため、高分子の絶縁層を介して試料をはさむことでこの問題を解決した。 (3) 実測したスペクトルの変化が予想よりも小さかったため、分子設計を再検討した。分子シミュレーションの結果、ポルフィリンに電荷を結合する場所を変えることで、当初目指していた機能がよりよく実現できる可能性が示唆された。当該分子の合成に改めて取り組み、鍵中間体の合成は完了した。
|