研究課題/領域番号 |
22550136
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
中尾 秀信 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ビームユニット, 主任研究員 (80421395)
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キーワード | DNA / プラズモニクス / 金属ナノアレイ / 転写印刷 / バイオナノデバイス |
研究概要 |
当該年度は作製した金属ナノ粒子線路1本のいずれか一方の先端部にプリズム結合法または対物レンズを通してプラズモン共鳴周波数のレーザを照射し、金属ナノ粒子線路の局在プラズモンを励起させ、このとき生じる光伝搬を顕微鏡下で観測した。十分密に金および銀ナノ粒子が結合した金属ナノ粒子線路において数μm程度のエネルギー伝搬を観測することに成功した。また金に比べ銀ナノ粒子用いて作製された金属ナノ粒子線路はより明確なエネルギー伝搬を示し、観測を容易にした。このことは線幅100nm以下の微小構造体を用いて光回路が作製可能であると示し、またその実証実験を容易にする実験系が確立できた。本研究において金属ナノ粒子線路の作製は特別な機械装置の使用を伴わず、直径数十nmで長さ数百μm以上の非常に大きなアスペクト比もった金属ナノ粒子線路の作製が可能である。またすべての工程をウェットプロセスで行うことができ、きわめて環境負荷の少ない技術である。大きなアスペクト比を持った金属ナノ粒子線路は光学顕微鏡下でのレーザの光照射が容易であり、線路上の特定位置での光照射およびカップリングが可能である。またこの事は金属ナノ粒子線路の光伝搬測定そして光電流応答のための電極接続が容易となる。マイクロマニピュレータによる線路1本1本の操作が可能であり、アレイの切断や移動そして、線路同士の接合などが可能である。本研究により作製された金属ナノ線路はフレキシブルで透明なPDMSシート上に形成されるため、界面において様々な入出力信号や測定系の導入が可能となる。この結果現在の光デバイス部品を最大限利用でき、且つ既存の光デバイス性能のさらなる向上が行える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作製した金属ナノ粒子線路上での光伝搬が観測できている。
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今後の研究の推進方策 |
より詳細な光伝搬特性(スペクトル計測や波長依存性)を把握するためには、現状の研究設備では限界があるため、他グループ所有の装置の使用を検討している。
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