研究課題
向精神薬などの含フッ素生理活性医薬品である、CF3基 やC-F結合を有するヘテロ環状化合物は、生体内では全く代謝されず、下水道に排出され 自然界に蓄積されている。微量であっても、内分泌かく乱物質として作用し、動植物の生態系に深刻なDrug Pollutionを引き起こしている。広く服用されている多種多様な医薬品は従来のTiO2光触媒酸化法やO3紫外線法では分解されない。強い酸化力のあるH2O2やO3を併用した、高度酸化技術ハイブリッド法では複雑な芳香環の開環や二酸化炭素への無機化は迅速に促進したが、C-F結合は切断されず、C-F基を有したままの種々の中間体が生成した。そこで、酸化プロセスではなく、還元条件でGa2O3触媒による、有機フッ素化合物のフッ素イオンへの完全無機化が目的である。光分解プロセスでの還元生成物の同定や分解メカニズムについて調べた。脱フッ素反応の最適触媒量、Langmuir-Hinshelwoodの式から直線関係が得られ、触媒の表面で脱フッ素反応が起った。Ga2O3触媒の活性を調べた。Ga2O3のバンドギャップ(4.8eV)は大きいので、短波長の殺菌灯を使い石英容器中で、不活性ガスのN2ガス雰囲気で伝導帯中の電子をフッ素基へ移動し、光還元を容易にさせた。白金の貴金属を1%担持したGa2O3触媒がGa2O3単独より光還元性が強く、脱フッ素反応が容易に起こり、フッ素イオンへ無機化した。従来のTiO2による太陽光照射下でのハイブリッド法による大量処理を低コストでのミニパイロット太陽光照射装置を試作した。太陽光照射法の検討やO3導入方法、最適光触媒使用量、分散溶液の流速因子、脱フッ素反応の最適pH依存性、反応速度などを考慮し、難分解有機化合物を含む汚染溶液大量処理に成功した。光分解生成物の発ガン性を調べる変異原性試験では、分解生成物の変異原性が認められない。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Photochemical & Photobiological Sciences, The Royal Society of Chemistry and Owner Societies 2012
巻: 12 ページ: 751-759
DOI:10.1039/c2pp25358e