研究課題/領域番号 |
22550158
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
友尾 幸司 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (70257898)
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キーワード | 翻訳開始 / 翻訳制御 / 抗がん剤 / 相互作用解析 / SPR法 / ITC法 |
研究概要 |
蛋白質生合成開始因子4E(eIF4E)は、mRNAのキャップ構造を選択特異的に認識し他の因子と共にmRNAをリボゾームへ結合させて蛋白質合成を開始させるという重要な働きを担っている。このeIF4Eの機能発現は、内因性eIF4E結合蛋白質(4EBP)により制御されているが、4EBPには3種サブタイプが存在するなどその制御機構は非常に複雑である。蛋白質生合成開始には、eIF4Eが他の因子であるeIF4Gと結合しeIF4Aと共にeIF4F複合体を形成することが必要である。eIF4EにおけるeIF4G結合サイトは、4EBP結合サイトと共通領域である。これまでの研究より、eIF4Eと4EBPとの結合には、既に明らかにされているY54-L60領域と共に、H74-E89領域が極めて重要であることを示した。本年度の研究ではeIF4Gとの結合においても、4EBPと同様に第二の結合サイトがぞんざいするのかを明らかにするために、eIF4Gフラグメントペプチドを作成し、eIF4Eへの相互作用を検討した。 1606残基からなるeIF4G分子の中で、eIF4Eに対する第一結合サイトを含むE614からI630までのペプチド(4Gpep-1)、第二結合サイトと推測される領域を含むG639からT654までのペプチド (4Gpep-2)、両結合サイトを含むE641からK606(4Gpep-12)を化学合成し、表面プラズモン共鳴(SPR)法や、ITC法を用いてeIF4Eに対する相互作用の差異について検討を行った。その結果、3種のペプチド間においてeIF4Eに対する結合力には差があり、特に4Gpep-2については、有意な結合は確認されなかった。一方、4Gpep-1と4Gpep-12は、共に結合が確認されたが、4Gpep-12の方が、結合力が強かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
eIF4Eと4EBPおよびeIF4G各フラグメントペプチドとの相互作用実験は、概ね予定通り進行しているが、各複合体結晶の作製には成功していないため、構造化学的知見の修得には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
eIF4Eと4EBPおよびeIF4G各フラグメントペプチドとの複合体結晶の作製に取り組み、構造決定と相互作用解析を推進したい。
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