化学的アプローチによりマルチコンジュゲートsiRNA分子を構築し,遺伝子医薬あるいは遺伝子機能解析ツールとして実用化を目指す。具体的には,siRNAのセンス鎖を核外輸送シグナル(NES)ペプチドとカチオン性ペプチドで同時に修飾し,以下2つの機能を付与することを目指した。 1.化学修飾塩基を組み込んだsiRNAの合成とRNA干渉効果の増強 申請者等は新規ヌクレオシドをダングリングエンドに組み込むと二重鎖DNA/RNAが強く安定化されることをこれまでの研究で明らかにしている。今回、5’-末端および3’-末端に化学修飾塩基を導入した新規siRNA分子を化学合成し、血清中でのヌクレアーゼ耐性を向上させることとoff-target効果を軽減することに成功した。また、これらのサイレンシング効果を評価した結果とヒトアルゴノートタンパクの機能構造を照合し、siRNAのどの個所のどのような化学修飾がRNA干渉作用にどのような影響を与えるかについて合理的に考察する有力な情報を得ることができた。 2.化学修飾siRNAとペプチド導入剤と組み合わせた無毒性細胞内デリバリー法の開発 1の化学修飾siRNAとペプチド導入剤と組み合わせることにより細胞毒性の低減、細胞内ヌクレアーゼ耐性の増強、off-target効果の軽減に成功したsiRNAを毒性なく細胞内に導入して、遺伝子サイレンシング効果を発揮できる方法を開発することができた。次にはin vivoでの効果を実証したい。
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