研究課題/領域番号 |
22550163
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
柳 久雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (00220179)
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研究分担者 |
山下 兼一 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 助教 (00346115)
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キーワード | 面発光型レーザー / 有機レーザー / 色素ドープポリマー / ローダミン色素 / 光ナノインプリント / フォトニック結晶 / DBR共振器 |
研究概要 |
レーザー色素をドープしたポリマー薄膜に光ナノインプリント等の手法を用いて微小共振器構造を組み込むことにより、面発光型有機レーザーの開発を目的として研究を行い、以下の成果を得た。 (1)DBR共振器型レーザー 誘電体多層膜ミラーをスペーサーを挟んで2枚対向させることによりDBR共振器を組み立て、その隙間にローダミン色素をドープした紫外線硬化樹脂溶液を毛細管現象により注入し、試料を周期的に微動しながら表面から紫外線レーザー(λ=375nm)をスポットに絞って照射することにより、ローダミン色素ドープ樹脂のマイクロピラーアレイを作製した。この素子をNd:YAGパルスレーザーの3倍波(λ=355nm)で光励起した結果、ローダミン色素の発光帯にDBRミラーの共振器長とマイクロピラーの屈折率に対応した数本のマルチモードレーザー発振を得ることに成功した。 (2)フォトニック結晶型レーザー 電子線リソグラフィー(EBL)と反応性イオンエッチング(RIE)により、Si/SiO_2基板を用いて300nm周期の正方ドット格子モールドを作製し、光ナノインプリント法によりローダミン色素をドープした紫外線硬化樹脂薄膜に2次元DFB共振器構造を転写した。この試料に入射角度60°でYAG/OPOパルスレーザーの励起光(λ=550nm)を集光し、基板の垂直前方に放射した発光を測定した結果、波長631nmに狭線化した面発光レーザー発振ピークを観測することに成功した。 このような面発光ポリマーレーザーは、半導体レーザーを励起光源として用いることによりコンパクトなマルチカラー光源を簡便に作製することができるので、多数の検体を同時に分析する医療診断用のバイオセンサーなどへの応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目標の中心であるフォトニック結晶モールドの光学設計と作製を行い、バンド構造解析結果により説明される面発光型レーザー発振ピークの観測に成功したことから、研究はおおむね順調に進捗している。また、DBR共振器型レーザーでは、マイクロアレー型素子を作製することによりマルチモードレーザー発振を実現し、当初の計画以上の進展があった。一方、レーザー発振と誘導共鳴ラマン散乱のカップリングによる低励起エネルギー閾値化と電流励起面発光型レーザーへの展開についてはまだ成果が得られておらず、今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度において新たに成果が得られたマイクロアレー型のマルチモードレーザーについては、ローダミン色素以外の複数の色素をドープした樹脂をマイクロアレイ上に配列することができるので、マルチカラーの面発光型レーザーへ展開する。レーザー発振閾値の低エネルギー化については、モールドの作製精度の向上と共振器のマイクロキャビティ化によってその進展をはかる。電流励起面発光型レーザーへの展開については、π共役ポリマー薄膜を用いた交流ゲート駆動型有機トランジスタ素子を作製し、発光増幅の可能性を探る。また、光ナノインブリント法により表面非対称構造を持つ色素ドープポリマーを作製し、円偏光レーザーへの展開を検討する。
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