研究課題/領域番号 |
22550167
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
栗山 一男 法政大学, 理工学部, 教授 (20125082)
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研究分担者 |
串田 一雅 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80372639)
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キーワード | 超微小電池 / リチウム2次電池 / シリコンチップ埋め込み / 原子間力顕微鏡 / 多結晶シリコン負極 / リチウム窒化物 / スピン・オン・グラス電解質 |
研究概要 |
1.シリコン基板埋め込み300×300μm^2単一全固体型リチウム2次電池の形成 昨年度に引き続き、固体電解質をPoly Methyl Methacrylate(PMMA)に絞り込み、シリコン基板に深さ2μm、面積300×300μm^2サイズの溝を形成した。ゾルゲル・スピンコーティング法により、正極及び固体電解質を埋め込み、多結晶シリコン(負極)/LiPF_4(10wt%)含有PMMA/LiMn_2O_4(正極)構造の全固体型リチウム2次電池を試作した。10pAの放電電流に対し、3.70nAh/cm^2の放電容量を得た。PMMA中のLi濃度をラザフォード後方散乱法で推算した結果、2x10^<21>/cm^3が固体電解質中に含有していることが分かった。 2.新しい正極材料の探査と電子物性の解明 新しい正極材料としてLi_8GeN_4を合成し、ラマン散乱測定からLiとGe原子の不規則構造を有し、光吸収及び光音響分光法から吸収端(バンドギャップ)が2.5eVであることを明らかにした。5×5mm^2の多結晶シリコン(負極)/LiPF_4(10wt%)含有スピン・オン・グラス固体電解質/Li_8GeN_4(正極)構造の全固体型リチウム2次電池を試作した。放電電流100pAで放電時間は約30分であった。さらに、他の正極材料として、LiMg_<0.9>Zn_<0.1>Nを作成し、Li-Mg及びLi-Zn間の不規則構造に結晶化し、3.4eV程度のバンドギャップを有することを明らかにした。 3.新しい電池埋め込み基板としての透明導電性電極としてのZnOの基礎物性評価 新しい試みとして、シリコン基板に替わるZnO単結晶を取り上げ、不純物元素をイオン注入することにより透明導電性を実現した。また、導電性の起源を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シリコン基板埋め込み300×300μm^2単一全固体型リチウム2次電池の形成については論文化して外部発表できる状態に近付いている。現有の原子間力顕微鏡が故障したため、バイアス電圧印加下の固体電解質及び正極材料の表面変化を観測するには至っていない。しかし、2012年春には修理が完了し使用できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
(1)シリコン基板埋め込み300×300μm^2単一全固体型リチウム2次電池の形成については論文化して外部発表する。 (2)新しい正極材料の種々の物性評価を行い、作成した正極材料を使用した微小電池を試作する。 (3)バイアス電圧印加下の固体電解質及び正極材料の表面変化を観測し、リチウムイオンの動きと表面形状変化の相関関係を探る。
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