研究課題
マンガンベース層状化合物、Li_<1.95>Mn_<0.9>Co_<0.15>O_3を新規に合成し、それらについて、粉末X線回折、中性子回折測定による構造解析を行い、リチウム二次電池正極材としての電池特性を調べた。その結果、本化合物は、単斜晶系で、空間群C2/mの構造をもつ新規の化合物であり、従来のマンガンベース化合物には見られない特異な充放電特性、すなわち、初期サイクルにおける急激な容量の増加とサイクル特性の向上、を示した。例えば、充放電電位2.0-4.8V、電流密度20mAg^<-1>の充放電条件下では、初期の10サイクルで放電容量は46.3から192.1mAg^<-1>まで上昇し、さらに60サイクルでも170.1mAg^<-1>という高い充放電容量を保持していた。このような電池特性発現は、化合物中の組成に大きく依存し、マンガンとコバルトの組成比が0.9:0.15付近でしか観察されないものである。また、本特性は、充放電に伴い構造が変化することによるものと考えられる。一方、,本化合物は、安全性、コストの面で、従来のLiCoO_2やLiNiO_2といったものと比べて有利であり、実用的な利用が期待できる。これらの結果は、特許出願を行った後、国際会議において発表を行った。今後、より優れた特性を発現する組成比の探索を行うとともに、V_2O_5あるいはLiV_3O_8などとのコンポジット化正極材を合成することによって、サイクル特性により優れた正極材の開発を行う。
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