研究課題
申請者は、最近、初めての着色していない白色シースルー色素増感型太陽電池を開発した。これは、独自に開発した近赤外領域のみの光を吸収する有機色素と半導体(酸化チタンや酸化亜鉛)の複合薄膜を光電極に用い、黄色に着色するヨウ素系電解質のかわりに無色透明有機電解質を使用することにより達成できた。この無色透明有機電解質は、本白色シースルー色素増感型太陽電池に必要不可欠であるが、使用時、ヨウ素系電解質を用いた場合に比べて、その光電変換効率の著しい低下をもたらす。本研究では、この原因を解明するとともに、その結果を基盤に、白色シースルー色素増感型太陽電池の性能を飛躍させる高性能な新規無色透明有機電解質の開発を目的とする。平成22年度は、以下の2点を実施した。無色透明有機電解質を25℃の恒温槽内で各種有機溶媒中、室内光を1か月、照射し、それらの溶液について、目視による変化、紫外・可視吸収スペクトル分析、核磁気共鳴スペクトル分析、ガスクロマトグラフィー分析などを実施した。しかしながら、顕著な有機電解質の劣化機構の解明にはつながるような結果は得られなかった。白色シースルー色素増感型太陽電池への無色透明有機電解質の使用条件についても、濃度の変更、電解質のカウンターアニオンの変更を実施した。その結果、無色透明有機電解質の濃度は、初期設定よりも低いほうが良いこと、ならびにカウンターアニオンについては、環状の嵩高いものが良いことが明らかになった。
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Physical Chemistry Chemical Physics
巻: 12 ページ: 7405-7410
Energy & Environmental Science
巻: (In press)