研究課題/領域番号 |
22550178
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
上川 直文 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60282448)
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キーワード | 酸化チタン / 層状複水酸化物 / Al-ドープZnO / Nbドープ / 配向 |
研究概要 |
本年度の研究結果について以下2つの分野に大別してまとめることができる。 1.反応を伴う解膠プロセスによる、ドーピングされたナノ粒子の合成法の検討 酸化物ナノ粒子の電気・光物性制御のためには、母体となる酸化物結晶格子とは異なる原子価を有する陽イオンを置換固溶させることによりドーピング(原子価制御)を行う必要がある。今年度はNb^<5+>ドープTiO_2ナノ粒子とその分散ゾルの調製を中心に検討を行った。この物質系は透明導電性薄膜用材料として注目されているものである。具体的なプロセスとして、TiC_l3とNbCl_5が溶解した水溶液に塩基を加えさらにH_2O_2水を添加してペルオキシチタン酸およびペルオキシニオブ酸水溶液調製した後、透析を行い不純物イオンの除去を行い分散安定性の向上を図りながらチタン酸-ニオブ酸複合体ナノ粒子分散溶液の調製を行った。この結果Nb/(Ti+Nb)モル分率で0~0.2という非常に広い組成範囲で複合体ナノ粒子分散ゾルを得ることができた。 2.酸化物ナノ粒子の配向制御薄膜の作製 本年度の検討では、新たにジアミンを用いた沈殿法を開発し応用することによりZn^<2+>-M^<3+>(M=Al,Ga)系層状複水酸化物(LDH)ナノ粒子分散溶液の調製法を確立した。LDHナノ粒子分散溶液を無アルカリガラス基板上で乾燥し300℃以上で加熱することで(002)配向を有するZnO薄膜を得ることができた。また、得られた薄膜を600℃にて真空中で加熱することにより導電性を有するAlドープZnO薄膜を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過酸化水素水による解膠と透析での不純物除去による粒成長の促進効果を併用することにより、透明導電性薄膜調製用の層状チタン酸-ニオブ酸複合体ナノ粒子分散ゾルの新規調製法の開発ができた。また、LDHナノ粒子のガラス基板上への体積によりLDH薄膜の作製とその焼成による配向性透明Al-ドープZnO薄膜の作製についての検討を進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
NbドープTiO_2ナノ粒子の配向制御薄膜の作製を行うために、形態異方性を有する層状チタン酸ニオブ酸複合体ナノ粒子分散ゾルの調製法についての検討を進め、導電特性の向上に有利な結晶面の配向性を有するNbドープTiO2薄i膜の調製法を検討する。また、Zn^<2+>-Al^<3+>系LDHナノ粒子は焼結時に平板状から六角柱状へ著しい形態変化を起こす。この性質を利用してLDHナノ粒子凝集構造の作製とその低温焼成によるAl-ドープZnOナノポーラス焼結体の作成を行う。これにより、ZnOの半導体特性を高度に制御し、表面吸着分子種とZnO表面間の電子的相互作用による化学センサー特性の制御などを行う。
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