研究課題/領域番号 |
22550179
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
吉武 英昭 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (20230716)
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キーワード | メソ細孔性シリカ / グラフト法 / シップインボトル合成 / 吸着 / オキシアニオン |
研究概要 |
MCM-41またはSBA-15のメソ細孔中にてベンゼンジアルデヒドと3-アミノトリエトキシシシランを反応させた。室温ではアミノ基とアルデヒド基は直ちに反応する一方、エトキシ基と表面シラノール基は100℃程度以上で反応を起こすため、室温で1平方ナノメートルのたり1分子のベンゼンジアルデヒドをトルエン溶媒で細孔拡散させた後、2当量の3-アミノトリエトキシシシランを室温で拡散させ、分子間で逐次反応させた。その後昇温し、12時間還流することにより、シランのエトキシ基と表面シラノール基を反応、グラフとした。さらに塩酸-エタノール溶液で生成したイミン結合を加水分解し、ベンゼンジアルデヒドを除去し、3-アミノプロピル基を表面に残存させた。この方法は、3種あるベンゼンジアルデヒドのうち、メタ異性体とパラ異性体に関して可能であり、オルト異性体については加水分解がほとんど進行しなかった。また非細孔性のシリカエアロジルのCab-O-sil M7Dに関しても、まったく同じ手順でその表面を有機基で修飾した。X線回折法、窒素吸着法、元素分析、フーリエ変換赤外分光法、13C CP MAS核磁気共鳴法を用いてすべての試料と、加水分解前の中間物質の構造解析を行った。その結果、メタ異性体とパラ異性体に関しては、反応がここに記述される通り進行していることが明らかになった。これらの試料を吸着材としてベンゼンジアルデヒドの吸着実験を行ったところ、調製に用いたベンゼンジアルデヒドと同じアルデヒドの吸着の平衡定数が顕著に大きくなったのは、SBA-15であり、MCM-41では差が小さかった。またCab-O-sil M7Dではほとんど差が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請時にシップインボトル合成法としてその効果が顕著になりやすいと予想された反応系では、確かに興味深い現象が見出されているものの、この合成法には他では実現できない構造や機能が実現する見込みがあると考える。今後はさらに適当な系を見出し、機能も吸着から触媒作用まで視野に入れて研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の計画の枠組みは、変更はないが、今後はさらに反応系を精査し、機能も吸着から触媒作用まで視野に入れて研究を進める。
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