研究課題/領域番号 |
22550179
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
吉武 英昭 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (20230716)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | シップインボトル合成 / 部分酸化触媒 / シクロヘキセン酸化 / 選択性 |
研究概要 |
PE-PEG AB3ブロックコポリマーを型剤に合成され、10nmの大細孔と4nmの連結部からなる3次元cubic構造を有するMTS-35を用いて、細孔内にTACN-Mn錯体の酸化触媒活性点を合成した。3-glycidyloxypropyltrimethoxysilaneを最初に、その後1,4,7-triazacyclononane (tacn)を表面反応させる方法(逐次グラフト法)と、3-glycidyloxypropyltrimethoxysilaneとtacnを細孔内で反応させ、その後温度を上昇、表面にグラフトする方法(シップインボトル合成)の2種の合成法を比較した。元素分析および構造解析から前者はtacnが一有機鎖で後者はtacnが二有機鎖で、表面固定されていることが明らかになった。propylene oxideと反応させ、アミンを全て3級化した後にMn(II)を配位させたところ、両合成法ともほぼ同量 の活性点密度が得られた。メタノール、アセトン、アセトニトリルを溶媒に、シクロヘキセンの部分酸化を行った。どの溶媒を利用した場合でも、シップインボトル合成による触媒の方が高活性を示した。溶媒間の比較では、どちらの触媒を利用した場合でもメタノールで最も高活性、アセトニトリルで最も低活性であった。メタノールを溶媒にした場合のシクロヘキセンへの選択性は、シップインボトル合成による触媒が100%を示したことに対して、逐次グラフト法による触媒ではわずかに61%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゼオライトで金属クラスターを細孔内に合成することがミクロの世界でのシップインボトル合成として知られているが、メソ細孔においては特定の有機構造もしくは、錯体構造が適当と方針を定め、この合成法が他の方法と別構造を与える事実を明らかにすることが、初めの段階になるが、合成法の選択と最適化、構造解析の選択が必要である。現時点までこれらを確立、洗練した形にまとめることができた。そこで得られた細孔内構造の差異が、吸着、固体触媒など、機能の違いとして解明することが第二段階と目され、そのように研究計画が立案されているが、本年度はまさにこの点を明らかにしている。したがって概ね計画通り進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、現時点までの成果をデータを補強し公表することが必要である。シップインボトル合成法の有用性を示すためには、さらに新しい機能を目指して別の構造の細孔内合成が望まれる。そこで細孔内アミド結合形成を軸に、不斉炭素を持つ有機構造やオリゴマーの合成を制御する。こうして得られた固体で、吸着分離への応用を検討する。
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