研究概要 |
昨年度までに開発した、バンドギャップが2.0 eVで波長600nm以下の可視光に応答するp型半導体、NドープFe2O3(hematite) をさらに改良し、NとZnを共ドープしたN,Zn-Fe2O3を開発した。この半導体も可視光応答性のp型半導体であり、O2をバブリングした0.2 M K2SO4水溶液中において、4 Suns相当の光量のXeランプ照射下で-780 μA (at -1.0 V vs Ag/AgCl)の高い光カソード電流が観察された。 XPSで計測された最大光電流が得られたサンプル中のドープ量はN, Znで各々0.6 at.%、0.2 at.%であった(論文掲載)。またこの光電極表面にPt助触媒を担持し、-0.4 V vs Ag/AgCl付近での光電気化学的な水分解水素生成実験を行ったところ、電流効率が平均40%程度で水素が合成できることを明らかにした。しかしながら、水素生成電流効率のサンプル間ばらつきが大きく(10-80%)、また100%付近に到達しない問題があることから、半導体Fe2O3から助触媒への電子移動が不充分であり、より最適な添加方法ならびに助触媒種の検討が必要であることも明らかとなった。 また同じく可視光応答性p型半導体N-Ta2O5光電極では、Pt助触媒を担持することによって、昨年度までのacetonitrile溶媒ではなく水中においても光電気化学的な水分解・水素合成が可能であることを明らかにした。この系では水素生成の電流効率が90-100%であり、Ptが比較的適した助触媒であることを明らかにした。
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