エチレンイミン-エチレンスルフィド交互共重合体をチオールーエン光重合法を用いて合成した。窒素原子に保護基のトシル基を付けた状態で、光散乱法で求めた重合度は108。良溶媒はジメチルスルポキシド、酢酸、エタノール、貧溶媒はトルエン、クロロホルム、アセトン、非溶媒はヘキサン、ジメチルエーテル、水で、疎水性を示す。融点は106℃、熱分解温度は247℃。ポリマーはチオール基と炭素・炭素間の二重結合で終端している。 生分解性を示す脂肪族ポリエステルであるポリエチレンマロネートおよびポリエチレンサクシネート、さらに代表的な芳香族ポリエステルであるポリエチレンテレフタレートの酸素原子を硫黄で置換したポリエチレンチオテレフタレートとポリエチレンジチオテレフタレートについて、モデル化合物の分子軌道法(MO)計算とNMR実験を行った。具体的には、モデル分子の電子相関を含む高精度MO計算で各立体配座ごとに自由エネルギーを求め、形成される分子内相互作用を調べた。NMR実験で求めたビシナル結合定数から配座分率を決定し、MO計算との比較で理論予測の信頼性を確認した。モデルを通して確立したコンポメーションエネルギーと幾何パラメーターから高精度回転異性状態法の高分子の統計力学計算で、それぞれのポリマーの形態依存物性や熱的性質を予測し、可能な範囲で実験との比較・検証を行った。 3価のリン原子を主鎖に含み、リン原子に置換基(メチル基、フェニル基)をもつポリホスフィンのコンポメーション解析をMO計算と高精度回転異性状態法を組み合わせて行った。その分子形態と置換基の立体規則性の関係を明らかにし、金属原子の配位の性質についてリンと同じ周期表15族の元素である窒素をもつポリイミンと比較し、ポリホスフィンの有用性と利用法を考察した。
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