研究課題/領域番号 |
22550200
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂田 眞砂代 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (60187391)
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キーワード | シクロデキストリン / エンドトキシン / DNA分離 / 選択吸着 / LPS吸着剤 / キャビティ / 包摂作用 |
研究概要 |
本年度は、シクロデキストリン(CyD)架橋球状粒子のエンドトキシン(リポ多糖:LPS)選択吸着能に及ぼすCyDの空孔径サイズの影響について調査した。 吸着剤の設計としては、空孔径サイズの異なるα-,β-,γ-CyDをリガンドとして、エピクロロヒドリン(EP)を架橋剤として用いた。得られた種々のCyD/EP共重合体のLPS吸着能の比較では、α-CyD<β-CyD<・γ-CyDの順にLPS吸着能が高く、空孔径が0.85nmと最も大きいγ-CyDを用いたCyD/EP共重合体が最も高いLPS吸着能を示した。 仕込みモル比で、γ-CyD/EP=1/4の共重合体は、水溶液中のLPS濃度を10EU/mLから1EU/mL程度に低下させることができ、最もLPS吸着除去能が高かった。γ-CyD/EP=1/2~1/1の合成も試みたが、得られた生成物の水膨潤度が著しく高く、粒径20μm以上の固体高分子が得られなかった。吸着剤の機械的強度から考えると、γ-CyD/EP=1/3~1/4の共重合体が吸着剤として望ましいことがわかった。 さらに、種々の吸着剤のLPS/DNA混合溶液からのLPS選択吸着能を比較したところ、従来のカチオン性粒子は、LPSとDNAの両方に対して高い吸着能を示したのに対して、γ-CyD/EP=1/4粒子はDNAを吸着することなく、LPSのみに選択性を示した。以上の結果から、γ-CyD/EP=1/4粒子は、従来のLPS吸着剤のように静電性でLPSを吸着するのではなく、CyD細孔へ取り込むことによる疎水性でLPSを吸着するため、DNAとの相互作用がほとんどなく、LPS/DNA混合溶液からのLPS選択除去剤として大いに期待できるという結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で開発した吸着剤は、市販のLPS吸着剤に比べてLPS吸着除去能がやや劣るが、DNAとの相互作用をほとんど示さないため、DNAを吸着することなく、LPSのみに選択性を示した。この結果は、当初の目的のひとつである「LPS/DNA混合溶液からのLPS選択吸着」を達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
吸着剤のLPSに対する吸着定数や吸着容量を増大させる必要が不可欠である。次年度は、吸着剤剤の設計としては、空孔径サイズの最も大きいγ-CyDをリガンドとして用い、エピクロロヒドリン以外の架橋剤を用いて、吸着剤のLPS吸着定数の増大を目標とする。具体的には、疎水性の特性を有する種々のポリウレタンとγ-CyDとの共重合体の調製し、LPS吸着能およびLPS選択性能を評価する。
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