研究課題/領域番号 |
22560010
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小松 隆一 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20314817)
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研究分担者 |
伊東 洋典 山口大学, 大学院・理工学研究科, 学術研究員 (60600088)
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キーワード | ニオブ酸カリウム / shaped crystal / 非鉛系圧電材料 / μ-PD法 |
研究概要 |
融液からの単結晶育成でば、育成後の残液だけでなくウエハへの加工で育成結晶重量の50%以上が廃棄物になってしまう、従ってこれらの廃棄物がほとんど再ない育成法開発が、省資源、省エネの点から必要である。一方ニオブ酸カリウム(KNbO3:KN)は、電気機械結合定数が大きいので、弾性表面波基板だけでなく非鉛系圧電材料としても注目されている。このKN結晶は不一致溶融化合物なので、育成はフラックス法で行われているが、育成結晶中へのフラックスの混入、育成速度が増加できない等の問題があり、結晶が効率的に育成出来、低コスト化が図れれば、市場が開拓できると予想されている。この結晶育成に対し、申請者らはpilling down法(PD法)でKN組成からKNファイバー結晶が育成できることを見出した。これらの結果をさらに進めて、省資源、省エネに有利なデバイスサイズの板状KN結晶育成を検討することを目標TPしている。本年度は育成炉の改造を行いながら、ルツボから融液を引き出すノズル形状を2種類作成し、板状KN結晶育成を検討した。検討の結果、育成KN結晶の厚みが変動するが長さ2cm程度の板状KN結晶が初めて育成できた。しかし厚みの変動が大きくなることが判った。この厚みの変動はノズルの径が大きいことに起因することが予想されたので、来年度の検討では、白金るつぼ下に0.5mm径の穴を有する直方形のノズルを作成して、厚み変動の小さいKN板状結晶の育成実験を行う。このようなノズルでは、融液からの結晶への融液供給が安定化し、育成結晶の問題である厚み変動が抑制できると予想している。育成結晶の特性評価では、厚みが小さくなる部位では、結晶が青色に着色する現象が確認された。これは結晶成長時の再溶融により酸素欠担に起因することが推定された。またX線回折実験からは、目的通りのKN単相が育成できたことが確認された。今後は、厚み変動の小さい板状KN結晶育成を鋭意検討し、電気機械結合係数の測定も検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目で板状KN結晶が作製出来、またより高品質化のための今後の検討課題も明らかになった。KN単相も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
ノズル形状の検討が必要であることが判った。
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