研究課題/領域番号 |
22560012
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
上田 修 金沢工業大学, 工学研究科, 教授 (50418076)
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研究分担者 |
山口 敦史 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60449428)
佐久間 芳樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, グループリーダー (60354346)
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キーワード | 発光デバイス / 量子ドット / 長寿命化 / 結晶成長 / 電子顕微鏡 / 劣化 / 格子欠陥 |
研究概要 |
平成23年度は、本研究の目的に沿って下記の3項目の研究および検討を行った。 (1)化合物半導体薄膜材料の光照射劣化の研究1:GaInNAs/GaAs量子井戸構造(継続):昨年度行ったGaAs/GaInNAs/(001)GaAsについて照射実験を継続した。照射は、発振波長1.0μmの半導体レーザを光源として、10kW/cm^2の光出力密度で10分~1時間の範囲で照射した。照射前後の断面TEM観察では、顕著な結晶欠陥の発生が認められなかったため、PL評価を行った。その結果、In組成およびN添加量を多くした結晶でも、照射前後での発光強度の減少や欠陥に対応する新たなピークは観察されなかった。そこで、照射光を1μm程度に絞れ、赤外PL評価可能な装置により照射した結果、1MW/cm^2の照射密度では、5分程度でも劣化することが判明した。今後、劣化部の詳細なPL評価・断面TEM観察も進めていく。また、1.3μm帯新材料のGaAs_<1-x>Bi_x(x<0.1)結晶をTEM評価し、特に顕著な欠陥・組成揺らぎもなく有望な材料であることを明らかにした。 (2)化合物半導体薄膜材料の光照射劣化の研究2:不純物をドープしたAlInGaAs単層膜(新規):p,n型不純物をドープしたAlInGaAs/(001)InP単層膜について、(1)で用いた装置を用いて光照射実験を行った。これらの試料をPL評価した結果、pドープ試料でやや発光強度の低下が見られたが、nドープ試料では顕著な発光強度の低下は見られなかった。今回のPL評価では、検出系の関係で1150nm以下の情報しか得られないため、次年度1150nm以上の波長で検出可能な測定系を立ち上げ、PL評価を行う(連携研究者、埼玉大矢口教授の協力による)。 (3)今後の照射試料の最適化の検討:最終年度に向け、これまでの実験結果から、最適な試料構造を検討し、1)量子井戸構造(量子井戸またはクラッド層にドーピング)、2)p-クラッド層/アンドープ活性層の2層構造が劣化実験に適していると結論した。次年度は、これをベースにGaN系材料、量子ドットへの照射も進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GaInNAs量子井戸構造を用いて、集中的に照射実験を行い、光照射による劣化に必要な光照射密度を決定できたが、そのために照射系を連携研究者に立ち上げてもらうなど大幅な時間を要した為。ただし、次年度は、照射実験のための実験装置の確保の目途がついたため、他の材料・構造への照射実験は急速に進むと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
既に述べたように、照射に必要な条件が明らかになり、照射系・照射条件も確立できたので、最終年度は、可能な限り、当初の課題に積極的に取り組み、多くの成果を上げたい。具体的には、以下のような体制で研究を進める。 1)長波長材料系(多層膜、量子ドット構造):埼玉大の装置による照射、PL評価 2)短波長材料系(GaN系薄膜):金沢工大の装置による照射、PL評価 3)構造評価:金沢工大のTEMによる欠陥観察・分析
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