研究概要 |
平成24年度は、本研究の目的に沿って下記の4項目の研究を行った。 (1) 化合物半導体薄膜材料の光照射劣化の研究1: GaInNAs/GaAs量子井戸構造(継続):GaInNAs量子井戸(In組成33%, N組成0.6%(試料A)及び1.3%(試料B))/(001)GaAsに対し、赤外PL評価可能な装置(光源: DPSSレーザ、波長532 nm)により照射した。パワー密度: 126-3910kW/cm2、照射時間:0-30分の条件での照射により以下の結果を得た。試料A: 低パワー密度では発光効率が向上したが、高パワー密度では、発光効率は減少した; 試料B: 低パワー密度発光効率が向上し、1000kW/cm2以上ではその向上率は減少した。また、断面TEMにより、発光効率が大きく低下した試料の量子井戸近傍に、歪みを伴った欠陥が観察された。 (2) 同上2: 不純物ドープAlInGaAs単層膜(継続):p, n型AlInGaAs/(001)InP単層膜に(1)と同じ装置により光照射したが、いずれの試料に関しても、パワー密度3910kW/cm2、照射時間0-10分では、顕著な発光効率の変化は見られなかった。 (3) 同上3: GaN/InGaN/GaN構造(新規): p-GaNクラッド層/アンドープInGaN活性層の2層構造を用いて照射実験(光源: 半導体レーザ、波長375 nm)を行った。パワー密度数100 kW/cm2、照射時間2時間では、殆ど劣化は見られなかった。 (4)量子ドット構造への光照射劣化の研究(新規):InPキャップ層/InAsドット/InP構造への光照射実験(30分の照射)を(1)と同じ装置で行った。パワー密度2300kW/cm2以上では、PL強度は初期に少し増加し、その後緩やかに減少し、また、それ以下では、PL強度が緩やかに(1-1.5%)減少した。
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