有機金属塗布熱分解法の作製方法は、MgO微粒子を均一に分散させた溶液を使用し、MgO微粒子の含有率を20 %とした。粒子を分散した基板を炉に入れ、300度で加熱乾燥させ、微粒子のみを基板上に堆積させた。基板上に微粒子を二次元配列させた後、微粒子を堆積させた基板上にMgO溶液を滴下し、スピンコーティングによって薄膜を成膜した。さらに、成膜した基板を300度で加熱乾燥(仮焼成)させ、MgO薄膜を700度で加熱(本焼成)することで結晶化を行った。焼成温度は、XRD測定でMgO薄膜の面方位(200)が結晶成長し始める700 ℃に設定した。実験に用いた微粒子は、面方位(200)のMgO微粒子である。試料はMgO微粒子を基板上に堆積させた後、300 ℃で10分間焼成を行った後、焼成条件が700 ℃ 1時間のP+MgO薄膜(I)・微粒子のみ(II)・MgO薄膜 (III)のXRD測定を行った。MgO薄膜のみではピークは低いが、微粒子を用いることで、MgO微粒子のみの試料よりもピーク値が約1.5倍程度大きくなっていることがわかった。またMgO薄膜のみでは半値幅が大きく、積分面積がひじょうに小さいことも確認できた。さらに粒子を入れることで積分面積は20倍以上増大させることが出来た。EBSD法による解析結果を行った。この結果より、MgO薄膜だけでは膜表面の結晶性は良くないことがわかった。しかし微粒子を用いることで薄膜表面の結晶粒径が成長していることが確認された。焼成時間を長くすることで、MgOの面配向(200)部の面積が増大し、MgO薄膜が配向していることを確認した。MgO微粒子を用いることで、MgO薄膜の結晶性が向上することが明らかとなった。また、基板上の微粒子の割合を変化させることで、MgO薄膜の表面近傍の結晶性の変化が確認できた。
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