研究課題
平成24年度は、成長中断を用いた希釈窒素添加GaNAs構造の発光特性の調査及びそのデバイス応用の可能性の探索を行った。初めに、窒素添加により劣化した発光特性を回復する目的で成長後の試料の熱処理を試みた。その結果、800度で4分間の熱処理により発光強度が2~3倍になることが分かった。一方で、発光波長・線幅には大きな変化は見られず、材料の大きな相互拡散などを起こすこと無く、欠陥のみを修復されていることが示唆された。次に、発光の温度依存性を測定したところ、GaNAs系で顕著に観察される異常な発光波長のシフトが観察され、窒素の局在状態が存在していることが分かった。また、新しい窒素添加材料系を開発する目的で、AlAs:N材料系の結晶成長とその光学特性探索を行った。近接2層InAs-QD成長法によるGaAs基板上の自己組織化InAs-QDの発光長波長化について引き続き研究を行った。本年度(H24)は、前年度までに得られた発光長波長化のための成長条件最適化に加え、QD成長レートを見直すことで、QDのさらなるサイズ増大と、課題となっていた発光長波長化による発光強度低減の改善に成功した。前年度までに、下層QD成長時の原料供給量および基板温度を制御することにより、上層QD成長面への歪分布を最適化し、上層QDのサイズ増大および発光長波長化を実現してきたが、今年度はさらに、QD成長時のInAs供給レート(QD成長レート)を変化させた際のQD発光特性を系統的に調べた。その結果、より低い成長レートでQDを成長させることで、さらなるQDサイズ増大と発光強度改善が両立されることを見出した。QDサイズは従来法よりさらに約2.5nm増大し、発光強度は4倍以上に向上した。この手法を用いることで、GaAs基板上InAs-QDの1.55ミクロン帯への長波長化と高発光強度実現の可能性が大いに期待できる結果となった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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