研究課題
24年度に測定を行った代表的な試料は、(1)GaAsナノワイア、(2)カルコパイライト型薄膜太陽電池材料、そして(3)GaAlAs/GaAs太陽電池用量子井戸薄膜である。(1)については入射光がナノワイアの表面で乱反射され、吸収スペクトルを測定することが極めて困難である試料であったが、PPTS信号を測定することが出来た。ただ、信号強度が極めて小さく、本格的解析を実施するには至っていない。Photoluminescenceは予備実験として測定しているので、PPTSの感度をあげて測定を続けている。(2)については、薄膜の深さ方向に組成分布があり、その不均一性に伴うバンドギャップの変化が却って光電変換効率を挙げる要因になっている。この試料については、透明トランスデューサーを用いる方法を新たに導入し、吸収スペクトルを得ることが出来た。また同時に、Photoluminescence、Photoreflectanceスペクトルを測定し、三つの測定結果を比較検討することから、試料内のバンドダイアグラムを始めて明らかにする事が出来た。(3)については、吸収層内に多数の量子井戸が存在するために、井戸と障壁層界面のキャリアの非発光(非輻射)再結合が極めて大きな問題となるが、他の光学的測定手段とPPTSを併用することで、キャリア再結合機構を明らかにした。以上のように、薄膜中にgrain boundaryなどにより光散乱の影響が大きく、透過測定など通常の光学的測定技術ではその吸収係数スペクトルを得ることが出来ない試料に対し、PPTS方が極めて有用な実験手段であることを明らかにした。これらの成果は4編の国際的学術論文として公表すると共に、欧州材料学会(E-MRS)シンポジウム、米国真空学会シンポジウム(AVS)などの国際会議においてOralで発表し、外国の研究所の注目を引くことが出来た。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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