研究課題/領域番号 |
22560025
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
斉藤 正敏 琉球大学, 工学部, 教授 (00284951)
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キーワード | 内部応力 / 電析薄膜 / べき乗則 / ノイズ / 応力緩和 / スケーリング / パルス電析 |
研究概要 |
本年度の研究 パルス電流の下でニッケル薄膜の内部応力とパルス電流振幅、パルスオン時間、パルスオフ時間の関係を求める。又X線解析を用いて内部応力と薄膜の結晶学的関係を明らかにする。 研究結果 1.パルス電流電析Ni薄膜(電解液に添加物を含まない場合) (1)内部応力σはパルス電析パラメーターを用いてべき乗則で表される。 σ~ia^(m)h^(-n)Ton^(α)Toff^(-β) ここでTonは電流を流している時間、Toffは電流を流さない時間、iaは振幅電流、hは膜厚である。 (2)優先成長方位と内部応力との間には関係がなく、本実験での優先結晶成長方位は<200>である。 (3)Tonは結晶粒径に強く影響を及ぼし、σ~d^(-n)で記述される。 (4)Toffは結晶粒径に影響を及ぼさないが粒界エネルギー緩和機構と関係がある。 2.直流電流電析Ni薄膜(電解液に添加物サッカリンナトリウムを含む場合) 添加物の内部応力への効果(添加物がない直流電析の場合σ~i^(m)h^(-n) (1)添加濃度Cが増加と共にn→0及びσ~imh-n+σo(C) 添加物は予想された通りべき乗則へのノイズである。ここでσoは濃度に依存する定数である。引張り応力であったニッケル薄膜を圧縮応力が作用する薄膜へと変化させる (2)優先成長方位が存在するがそれは内部応力と関係しない。 (3添加物は結晶の成長及び結晶粒界緩和に関係して、それにより内部応力を低下させる。 3.直流電析Au薄膜 (1)Au薄膜には優先成長方位は存在しない。成長条件に対して成長方位は変化しない。 (2)温度は結晶粒径を増大させ内部応力を変化させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の課題であるニッケル及び金電析薄膜の内部応力についてスケーリング則とそれからの逸脱、X線解析による薄膜組織の解析をほぼ終了している。実験結果は8月にチェコで開かれる国際電気化学学会で3件発表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
ニッケル電析薄膜及び金薄膜の非定常での内部応力変化のその場測定と解析 (1)Ni電析薄膜(1)或いは振動することが期待される。これまでのX線解析結果から優先成長方位の選択が膜厚の増加と共に生じている。又、優先成長方位の島状Niが形成され成長をしている。従って内部応力の発生源である粒界形成の時間変化を意味し、具体的にはストリップの振動として観察される。(2)添加物有添加物がある場合、X線解析の結果によれば、結晶粒径の増大を抑制することが判明しており、振動は生じないと予想される。 (2)金電析薄膜X線解析の結果、優先成長方位は存在しないが、膜厚と共に結晶粒径の増大を起こす。従って結晶粒界の時間変動は存在するがNiの場合とは異なり、長波長の振動となることが予想される。
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