無添加ZnO膜とGZO膜について、電子ビームを使ったイオンプレーティング法により無アルカリガラス基板上に200℃で製膜した。XRD測定から、c軸方向にそろった結晶粒による柱状構造の多結晶膜が得られることを確認した。また、これまでの研究から、これらの多結晶酸化亜鉛薄膜は、製膜初期にはアイランド状の結晶粒からそれらが緻密になり、三次元成長につながって成膜することを、結晶粒の面方向と厚さ方向の残留ストレスから明らかにしている。結晶粒は膜厚と共に大きくなり、製膜条件に依るが膜厚100nmあたりまで成長し、それ以上の膜厚では結晶粒の大きさはほとんど変わらないことを確認している。今回試料の膜厚は、無添加nO膜とGZO膜ともに20nmから60nmまでを10nmごとに準備した。すなわち、膜厚とともに結晶粒の平均粒径が増大するととから、粒内と粒界が起因する特性を考察しやすくなると考えた。申請時には、まず無添加ZnO膜の評価を行い、続いて膜厚の異なるGZO膜の評価を行う計画であったが、成膜を同時期に行うことで、膜厚以外の試料のばらつきを抑えるようにした。 次に、これらの試料の紫外線照射時の光応答特性を評価した。そして、(1)紫外線照射による光電流は、膜厚とともに大きくなる傾向があり、GZO膜の方が無添加ZnO膜より大きい、(2)紫外線を照射して光電流が飽和するまでの時間は膜厚が厚いほど長い傾向がある、(3)紫外線照射を切ったときの光電流の減少は、GZO膜の方が早い、ことを確認した。
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