ガリウムを添加した酸化亜鉛薄膜におけるHall効果測定の結果、膜厚が100 nm以下の薄い場合、膜厚とともにキャリア濃度、移動度ともに大きくなったが、それ以上の膜厚ではキャリア濃度は大きくなるもののキャリア移動度はほぼ一定であった。これは、膜厚100 nm程度までは膜厚ともに多結晶粒が大きくなり、それ以上の膜厚では結晶粒の大きさが変化しないことと定性的に合っている。このことから、粒界がキャリアの移動に影響しており、光伝導度の大きさには結晶粒内が関係していると考えられる。光吸収スペクトルの結果は、キャリア濃度とともに光吸収スペクトルの吸収端が高エネルギー側へ移動した。一方で、膜厚に対して光吸収端のエネルギーはあまり変化しなかった。 次に、ショットキー電極の形成を試みた。電極材料として、Au、Au-Zn、Pdを使い、蒸着法とスパッタ法で行った。また、電極を形成する前に、表面を空気中での熱処理による酸化も試みた。しかし、いずれの手法においても、良好なショットキー特性を得ることはできなかった。原因として、多結晶膜の表面準位の存在が考えられ、オゾンガスによる表面強酸化も行ったが改善することはできなかった。 さらに試みとして、これらまでの結果を含み、ZnO 膜を使ったアプリケーションとして紫外線センサを試作した。これは、電極とリードを取り付けた酸化亜鉛薄膜をインスツルメンテーション・アンプに接続し、バー配列のLED表示器に紫外線強度バー表示する用にしたものである。動作は、紫外線LED光の照射、室内照明と太陽光の照射で確認した。
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