本研究では、我々がこれまでに開発してきた「マイクロカロリメータ型検出器を応用した電子顕微鏡分析システム」を実用に供するための解析基盤技術の検討を実施するとともに、金属材料における偏析や析出などの微小な組成変動の検出と定量化を試み、従来より高感度かつ高精度な微量元素の定量分析手法を確立することを目的としている。これまでに、取得したスペクトルの定量評価に必要な諸特性データの取得や、装置・実験手法の最適化を実施した。その結果、X線を効率的に集光するために利用するX線ポリキャピラリレンズの設置精度がスペクトルに大きな影響を与えてしまうことなどが明らかになった。その知見をもとに、平成24年度は下記項目を実施した。 1.平成23年度に一部実施したX線ポリキャピラリレンズの特性測定を詳細にわたって実施した。平成23年度に購入した微動ステージを用い、X線ポリキャピラリレンズを微小量移動させながらレンズの焦点のエネルギー依存性などを自動測定する装置を構築し、スペクトルの定量化に必要な伝送特性を把握するための測定を実施した。 2.これまでに開発してきたTEMに新検出器を搭載した現有装置は震災で損傷し現在修理中であり、新たなデータを得ることができなかった。そのため、九州大学に設置してあるSEMに新検出器を搭載した装置を活用し、金属材料中の微量添加元素の粒界偏析の測定や検出下限値の評価等を実施した。その装置は、当方の現有機とは異なるデザインのX線ポリキャピラリレンズを用いているため、直接的なスペクトルの定量解析は実施していないが、装置固有のX線ポリキャピラリレンズの伝送特性を測定しなおすことによって解析が可能であることを示した。
|