研究概要 |
細胞組織など透明生体試料が3次元的な構造を持っているとき,その組織構造を解明するためには,NMRやX線CTなどで時間をかけて断層画像を取得するか,試料をスライスして2次元画像を得それ再構成して3次元組織構造を得ることが一般的であった。顕微鏡画像は焦点面(インフォーカス)画像のみ有用であるとして,焦点面以外(アウトオブフォーカス)からの散乱光の影響はバックグラウンドノイズとして扱われてきた。われわれはインフォーカス像に上乗せされたアウトオブフォーカス像に含まれる情報に着目し,焦点深度外の像の再構成方法について検討した。これを一般の部分的コヒーレント照明下での結像特性に拡張している。 顕微鏡の光学的応答関数(MTF)特性の測定を解像力チャートなどの観察によっておこなった。解像力チャートは市販のものを用いた。ここでは,インフォーカス状態の結像特性を測定するとともに,デフォーカスによって結像特性がどのように変化していくかを計測した。その際,明視野顕微鏡,位相差顕微鏡,微分干渉顕微鏡などについて計測をおこなった。これに平行して,これまでわれわれが開発してきた,フーリエ平面波展開法による結像特性評価シミュレーションコードの改良をおこなった。このテーマの研究協力者としては大学院生である永井宏樹,中俊久,他1名があたった。協力研究者として,ポスドクの杉坂純一郎博士,大学院修士課程学生の永井宏樹他1名,学類学生2名を予定している。また光学系の設計および解析において宇都宮大学の谷田貝豊彦教授を連携研究員とし,研究開発をおこなった。
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