研究概要 |
光を用いたイメージングは,他の方法と比較して,無被曝,非侵襲で行うことができ,また,比較的単純な構成で計測を行うことができる。本研究では計測の分解能をサブ波長程度まで向上させることをめざして,近接場回折光と伝搬光を統合した新しい理論体系を構築し,試作機で性能を確認すことである。 本年度はもっともセクショニング効果が高い微分干渉顕微鏡について3次元的な結像空間周波数特性(MTF)の解析を中心におこない,微分干渉顕微鏡における計測レンジの拡大を試みた。3次元的に広範囲に分布している生体試料の位相量を定量計測するために,光軸方向および水平方向への計測範囲の拡大が必要である。光軸方向の計測範囲は反射型計測で四分の一波長に制限されるため,解析されたデフォーカス特性に基づき,インフォーカス領域を検出する方法であるセクショニングマスク法による計測範囲拡張をおこなった。これにより,焦点深度をはるかに超えるミクロンオーダーの計測をナノメートルの精度でおこなうことができるようになると考えられるが,デフォーカス像の映り込みの課題が残った。水平方向への拡張は,スティッチング技術を応用することで,ステージ精度によらない計測視野範囲の拡張が可能となった。その中で重要なポイントである画像どうしの相対位置座標の検出については,相関により決めることが可能と考え,微分干渉顕微鏡のエッジ検出能力を活かしたエッジマスクや移動量予測による使用する画像領域限定について検討をおこなった。このテーマの研究協力者としては大学院生である中俊久,および,笠木隆裕があたった。顕微鏡の改造については,別件でも共同研究を行っている,オリンパス光学(株)の協力のもとでおこなった。
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