研究課題
位相変調型微分干渉(RM-DIC)顕微鏡を用いた位相再生手法の開発にあたり、生体の3 次元的な屈折率分布の取得を目標にしてきた。このため、3次元再構成の元のデータとして、物体の位相分布の断層画像群が必要とされる。しかしながら、生体のような立体的な構造を持つ標本において、従来の位相再生手法を用いても、前後にある物体のボケ像が寄与し、3 次元像に使える位相分布の断層像を取得できなかった。そこで、この前後層からのボケ像の寄与を補正するために蛍光観察でボケ像補正に使われるNearest Neighbor Deblurring(NND)法 の改良と適応を試みた。NND法 は、最近接ボケ除去とも言われ、光学的断面データのボケ除去法の一つとして研究が進められている。NND は、Z 軸方向に連続する3 枚の画像から演算処理を行ないボケを除去する。連続する3 枚のうち中央の画像を補正するために、その上下に隣接する像を用いる手法である。まず、ボケ像の点応答関数(Point spread function: PSF)を予めシミュレーションにより計算で求めておく。手前に位置する像を一つ分後ろに、後ろに位置する像を一つ分前にずらすように計算されたPSFを作用させ、前後層が作るボケ像を再現したのち、それを引き算することでボケ像を取り除いた。実際の処理としては以下のとおりである。RM-DIC像から位相再生像を取得、前後の位相再生像をピントをずらしてRM-DIC 像に戻す、中央のRM-DIC 像から前後のピントずらしのRM-DIC 像を減算し、それを位相再生する。NND を組み込んだ位相再生手法によって、シミュレーションと実験をおこない、再生位相量が補正され理論的に算出される値に近くなり、ボケ像由来の像コントラスト反転から生じる位相跳びが補正され連続的な分布とすることができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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