研究課題/領域番号 |
22560033
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
高田 和正 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20359590)
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キーワード | フォトニックネットワーク / 光制御 / 光位相制御 / 光干渉 / 位相誤差 / 光誘起屈折率変化 / 周波数可変レーザ |
研究概要 |
スラブ導波路上の屈折率分布を位相誤差分布より導出するプログラムを作成した。スラブを細かいメッシュに分割し、各要素の屈折率をn_i、アレイ導波路から出射ポートに入るk番目の光路がメッシュを横切る幾何学的な距離をdL_<ki>とすると、一本の光路の光路長P_kは、P_k=Σ_kdL_<ki>・n_i,すなわち、行列表現でP=dL・nとなる。ここで、PはP_kを成分とするベクトル、nは屈折率を成分とするベクトル、dLはdL_<ki>を成分とする行列を示す。dLの逆行列dL^<-1>を計算することにより、nはn=dL^<-1>・Pと表される。そこで今回、逆投影法によりnを求めるプログラムを作成した。すなわち、h_kをk番目の光路の長さ、k番目の光路がi番目のメッシュに占める長さの割合をF_<ki>としてdL_<ki>=h_kF_<ki>及びP'_k=P_k/h_kとすると、方程式はP'_k=Σ_iF_<ki>n_iとなる。このため、初期値の推定値n^<est>から、n^<est(j)>=F^TP'+[I-F^TF]n^<est(j-1)>の関係式で反復的に数値計算を行った。スラブ導波路レンズを15×15のメッシュに分割し、一部に0.1%の屈折率変化がある場合に本プログラムにてシミュレーションを行った結果、数回の反復でほぼ同じ屈折率分布を導出できることが分かった。そこで、低コヒーレンス光干渉法を用いてチャンネル間隔10GHzで160チャンネルのアレイ導波路型回折格子に対して得られた位相誤差分布のデータを用いて本プログラムを実行したが、数値計算を繰り返すごとに屈折率分布が異なり、一定の値に収束させることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逆投影法という手法にて屈折率分布を導出できることをシミュレーションにて確認できるところまで、プログラムを完成させた。しかしながら、位相誤差データからは、実際の屈折率分布を導出できていない。
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今後の研究の推進方策 |
位相誤差分布のデータから実際のスラブ導波路レンズ上の屈折率分布を導出できない理由は、両端のアレイ導波路における位相誤差測定値の雑音が大きすぎるためと考えられる。従って、今後は、両端部分のデータを削除したデータまたは、平滑化したデータを使用することによって、プログラミングの収束性をよくする方針である。
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