本研究は、アト秒物理学及び高強度レーザー科学の研究に必要なレーザードライバーの光学設計法を考案し、BIBO結晶及びそのタイリング化をしたものを光パラメトリックチャープパルス増幅器(OPCPA)とした搬送波位相安定・ペタワット出力・オクターブバンド幅・赤外波長帯域・サイクルパルスレーザー光の発生を目的とする。 本年度では、搬送波位相制御光学系の最適化と白色光コンティニュームの発生及びその差周波数混合の超広帯域化による搬送波位相制御の実証や、BIBO結晶を用いた第一段OPCPAの最適化設計は主な研究内容である。このため、研究代表者が開発した光ファイバーにおける非線形光学効果を記述する非線形波動方程式数値計コードを生かし、OPCPAの信号光の発生源として中空ファイバー等による白色光コンティニューム発生に関する数値計算法の確立に取り組んだ。また、研究代表者が開発した第二高調波発生の数値計算コードを差周波数混合に応用し、オクターブ幅信号光の発生に関する定量評価法の確立を図った。 これまでの研究では、主にIgor Proというグラフィクスソフトを用いて展開してきたが、より汎用性の高いMathematicaやMaple、EXCELでも数値計算を行えるよう、これまでに開発した計算コードのこれらのソフトへの適応性評価を行った。本年度では、EXCELのVBA機能を利用した超広帯域OPCPAの最適化設計を実現することができた。実証実験については、レーザー装置の故障で期待した成果が挙げられなかったが、装置の修理は既に完了し、OPCPAの励起源であるグリーンレーザーの高効率化において独自な成果を挙げることができた。
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