本研究は、アト秒物理学及び高強度レーザー科学の研究に必要なレーザードライバーの光学設計法を考案し、BIBO結晶及びそのタイリング化をしたものを光パラメトリックチャープパルス増幅器(OPCPA)とした搬送波位相安定・ペタワット出力・オクターブバンド幅・赤外波長帯域・サイクルパルスレーザー光の発生を目的とする。これまでの二年間の研究で、励起レーザー光のピーク強度の安定性が新たな課題として浮上し、安定したサイクルパルスレーザーを発生するには、励起レーザー光の安定性向上が求められてきた。研究代表者は既に微小な位相不整合を取り入れた第二高調波発生を用いた基本波ピーク強度レーザー光の安定性技術を新たに開発し、それに関する数値計算および実験検証を今年度の研究内容として新たに加え、その実用化を目指してきた。主な研究成果は以下の通りである。 1、微小な位相不整合を第二高調波発生過程に取り入れることによって、基本波及び第二高調波レーザーパルスにおける先頭強度の安定性向上を理論解析で明らかにした。 2、波長1053 nmのナノ秒高繰り返しQ-Switched固体レーザーを用いて基本波レーザーパルスの先頭強度における安定性を実験でも示すことができた。また、第二高調波レーザーパルスの先頭強度における安定性も初期の実験結果より明らかになった。 3、光電場の量子化によってサイクルパルス搬送波位相制御に関する光学設計法を確立し、従来の非線形波動方程式とともにOPCPA光学システムの増幅や位相制御に関する理論評価法と光学システムの設計法を確立することができた。今年度内に実験成果として得られなかったが、搬送波位相安定の初期実験システムの構築ができ、特に励起レーザーパルスの先頭強度における安定性課題の解決ができた。 4、二次の非線形光学過程におけるΔS値を基本波及び第二高調波の飽和区域への評価方法を確立した。
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