1. 本年度は、広ストライプ半導体レーザへの(A)垂直光フィードバックと(B)斜め光フィードバックの実験系を構築し、フィードバック角度θ=0°の(A)では光フィードバックにより閾値電流が減少し光パワーが増加するのに対し、θ=4°の(B)では光フィードバックにより光パワーが減少することを明らかにした。これは、斜めフィードバックによって位相が反転した位相共役波が発生し、これがフィードバックの無い場合の光出力にdestructiveに干渉するために光出力の低下が観測されたものであり、フィードバック光入力に対して発生する位相共役光出力の比として定義される位相共役反射率は40%程度の値を実測した。 2. さらに、反射鏡までの距離をLとする(B)斜め光フィードバック経路中の光をアバランシェホトダイオード(APD)で受光し、その強度雑音スペクトルをRFスペクトルアナライザーで観測した結果、その縦モード間隔周波数は通常ミラー共振器のc/2Lではなく、位相共役光共振器に特徴的なc/4L、であることを実験で初めて検証した。 3. 上記の1.と2.の実験結果は、(B)の斜め光フィードバックの実験系で位相共役光が発生し、セルフポンプ位相共役鏡として動作していることを、異なる2つのアプローチで検証することに成功したものであり、セルフポンプ位相共役鏡半導体レーザの自励発振に向けての重要なマイルストーンと位置づけられる。
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