研究課題
ポリカーボネートは、軽量、透明で、高い耐衝撃性を有する。このため、電気電子工学のみならず建築、航空、自動車工学など様々な分野で期待されている材料である。しかしその表面は傷付きやすく、耐薬品性にも欠ける。そこで現在、ポリカーボネートの表面保護には、シリコーン系、アクリル系あるいはメラミン系の高分子ハードコートが施されている。しかし、現状の高分子ハードコートでは、耐薬品性は得られているものの、その表面硬度は十分とは言えない。本研究では、シリコーン系ハードコートが施されたポリカーボネート表面を、フッ素レーザー誘起光化学反応によりシリカガラス(SiO_2)化することによって、軽量、透明で、高い耐衝撃性を有し、しかも「傷の付き難い」次世代型の自動車用ガラス代替窓材を開発することを目的としている。そこで今年度は、まずシリコーンハードコートをシリカガラス化するための最適なレーザー照射条件を見出した。そして、最適なレーザー照射条件で改質された試料の耐摩耗性を調べるために,テーバー摩耗試験を行った。ポリカーボネート板のみの場合、摩耗輪の跡がはっきりと見えるときの〓Hzの値は46%であった。一方、シリコーンハードコートが施されたPCでは、摩耗輪の跡が薄くなり、このときの〓Hzの値は3.5%であった。そしてフッ素レーザーを照射すると、摩耗輪の跡はさらに薄くなって、〓Hzの値は1.9%まで低くなることがわかった。このように、フッ素レーザーによるシリコーンへのシリカへの改質により、ポリカーボネートに高い耐摩耗性を発現させることができた。
すべて 2011 2010
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 50巻 ページ: 022702-1-022702-5