研究概要 |
磁気浮上を利用した磁化率測定をこれまでより高温(~300℃)で実施するための加熱装置の設計,製作を行った.磁気浮上と加熱装置を組み合わせる上でのポイントは,試料の浮上状態を観察できるようにすることである.そのため,加熱には透明なガラスヒーターを用いることにし,試料の横方向からの観察をガラスヒーターの外側に配置したプリズムとCCDカメラを用いて行う設計とした.また,試料の温度測定には磁気浮上の非接触性を活かすため,放射温度計で試料の温度を非接触で測定することにした.ガラスヒーターと観察系を取り付けるフランジを試作し,組み付け調整を行った.また,高温となる加熱部分からの熱をマグネットに伝えないために冷却装置が必要であるが,加熱装置と組み合わせてマグネットボアに挿入するためスペースが限られている.しかし,加熱・観察部分の概略が決まったことで,冷却系作製の方針は得られている. また,これまでの恒温槽を用いた装置での測定では,n-docosane(炭素数22,融点46℃),n-tricosane(同23,47℃)に加え,n-heneicosane(同21,42℃)の単分散試料とこれらを混合したものを試料として,磁気浮上を利用して磁化率の温度変化を測定した.その結果,単分散試料では溶融前の磁化率の増加が見られないこと,混合試料ではバラフィンと同様に磁化率の増加が見られることが分かった.このことから,パラフィンで観測される溶融前の磁化率の増加は,融点の低い部分が溶融し始めたところで融点の高い部分が磁場配向することによって起こっていると考えられることが分かった.
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