研究概要 |
反磁性磁化率の温度変化を磁気浮上を利用して非接触で測定するため,さらにその知見を無容器溶融凝固による材料作製に活用するためには,浮上磁場と同時に,浮上位置の変化を知る必要がある.そのため,昇温中の浮上試料の挙動をその場観察する必要がある.また高温となる加熱部の外周はマグネットへの熱進入を防ぐために断熱または冷却される必要がある.そのため,加熱装置として透明なガラスヒーターを用いることとし,それ以外の観察系や冷却系は加熱装置に合わせて作製することにした.そのため,加熱装置に観察系を組み付けるフランジ類の試作と組み付け,ガラスヒーター内を真空引きするための排気ラインの検討,冷却系の設計・製作を行った. ガラスヒーターは交流,直流どちらでも加熱可能であるため,まずゼロ磁場でそれぞれの場合の印加電圧と昇温特性の把握を行った.またその際,高温部と近い位置にCCDカメラ等を設置する関係上,ヒーター付近の数カ所に熱電対を設麗し,昇温時の温度を測定した.その結果,1分程度で300℃まで問題なく昇温できることが分かった. 冷却系に関しては水冷ジャケットとし,ハイブリッドマグネット及び冷凍機冷却超伝導マグネットの52mm室温ボアに挿入する必要があるため外径は51mmとし,ヒーターのフランジ外径が46mmであることから内径は46.5mmとした.水冷ジャケットの厚みが非常に薄いため,長さはヒーター周辺を冷却する最低限の200mmとした. 排気ラインはヒーター下部からテフロンチューブで折り返して上方に抜ける形とし,ローターリーポンプでヒーター内の真空が引けることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ハイブリッドマグネットに代わって使用予定だった15T-,18T-冷凍機冷却超伝導マグネットが震災直後は稼働できたものの,後に使用不可になったため.また,ハイブリッドマグネットに関しても当初の見込みよりダメージが大きく,修復期間が長期に及び,磁気浮上状態での実験が不可能になっているため.
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今後の研究の推進方策 |
ガラスヒーターを用いた観察用磁気浮上炉に関しては,ゼロ磁場での温度制御,観察系の調整を早期に終了させ,磁場中でのテストを実施していく.その際,ボア径52mm以外のマグネットに関しても有効活用する.後半には新しい15T-冷凍機冷却超伝導マグネットが使用可能となるので,強磁場中での予備実験を行い,ハイブリッドマグネットの利用再開に備える.
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