研究課題/領域番号 |
22560065
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 雅人 京都大学, 工学研究科, 教授 (80303858)
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研究分担者 |
野口 尚史 京都大学, 工学研究科, 助教 (10447906)
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キーワード | 乱流遷移 / 厳密秩序構造 / 非線形安定性解析 / 分岐理論 / 流れの動力学 / クエット流 / ポアズイユ流 / 対称性の破れ |
研究概要 |
平成23年度「研究実施計画」記載の4項目につき、(1)に関しては、2重円筒間のスライディング・クエット流を介し、平面クエット流と円管ポアズイユ流との「厳密」コヒーレント解に共通の空間的対称性(鏡面対称性)を有する構造が存在することを突き止めた。(2)に関しては、正方形ダクト流における偏在解と平面ポアズイユ流で見つかった上下非対称解に対応付けができることを示した。平面ポアズイユ流自身は上下対称な流れであるにもかかわらず、擾乱擾乱が上下の壁の片方近辺にだけ偏在しうることを示せた意義は大きい。(1)と(2)の成果は以下[学会発表]に記載の国際会議Bifurcation and Instabilities in Fluid Dynamicsで報告した。(3)に関しては、熱対流を伴うテーラー・クエット流あ外側円管のみが回転する場合で、数値解析を行ったところ、.臨界点のパラメータ値と、その臨界点から分岐し、乱流遷移に大きく関連する有限振幅解の空間構造が、仏・ルアーヴ大学での実験観測と一致した。(4)に関しては、平面クエット流における2種類の「厳密」解(Nagata,1990とItano & Generalis, 2009)を平面ポアズイユ流にホモトピー接続できた。接続できた平面ポアズイユ流の「厳密」解のうち、一つは鏡面対称性を有する流れであり、もう一方は鏡面対称解から対称性の破れによって分岐する非対称解であった。さらに、非対称解のサドル・ノード分岐は、今まで報告されているサドル・ノード分岐点よりもよりも低いレイノルズ数で起こることが示された。乱流遷移の開始においては、より低いレイノルズ数での解の存在が重要であることから、非対称解の発見は意義深い。(4)の成果は以下[学会発表]に記載の国際クエット・テーラー・ワークショップで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載の「研究の目的」に関し、スライディング・クエット流を介し、平面クエット流と円管ボアズイユ流との「厳密」コヒーレント解に共通の空間的対称性を有する構造が存在することを突き止めたこと、正方形ダクト流における偏在解と平面ボアズイユ流で見つかった上下非対称解に対応付けができること、熱対流を伴うテーラー・クエット流で当報告者の数値解析と仏・ルアーヴ大学での実験観測が一致したこと、平面クエット流における数種類の「厳密」解を平面ポアズイユ流にホモトピー接続できたことが示された。さらに、計画外であった熱源を一様に分布ざせた円管流の解析から円管ポアズイユ流の「厳密」解を再現できた(第57回BAMCで発表)。以上のことから当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最近、円管ボアズイユ流で見つかったShift-and-Reflection対称性が不在の「厳密」解(Kerswell, 2012,Private communication)が平面クエット流でも存在しているかどうかを検証する。現在知られている平面クニット流の2種類の「厳密」解(Nagata, 1990とItano&Generalis, 2009)はこのShift-and-Reflection対称性を有していることから、もし、Shift-and-Reflection不在の解を探し出すことができれば両流れの乱流遷移の構造の普遍性の解明が一応完結する。また、平面クエット流の2種類の「厳密」解の繋がりの可能性を回転平面クエット流で突き止めることも計画している。
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