研究概要 |
高速炉の想定運転温度は550℃程度であるため,構造健全性評価においてはクリープ疲労の高温特有の破壊現象の評価が必要になる。また高速炉では原子炉本体の炉心支持板、蒸気発生器の管板など、円孔を有する構造が使用されている。円孔周辺では,応力・ひずみの集中が生じ、通常、この部分から破損が生じるため、この不連続部の強度を正確に評価することが重要となっている。多数の円孔を有する円板の例として燃料棒を支持する管板があるが、実機では冷却水の通過のため厳しい熱応力が発生し、この部分からクリープき裂が発生する。 管板を模擬した円孔板を用いて、SUS304ステンレス鋼の試験片を用いて、550℃での疲労実験とクリープ疲労実験を行い、円孔板から生じるき裂発生と進展に関する知見を得た。また、き裂と荷重との関係についても検討した。 非弾性有限要素法を用いて、円孔板の疲労解析とクリープ疲労解析を実施し、応力再配分軌跡(SRL)を求め、繰り返し塑性変形、クリープ変形の考察などを行った。 また、有限要素のモデル化を簡単化するため、構造組み立て法によるモデル化を提案した。 管板のように複数の円孔がある場合の検討を開始した。中央部の円孔まわりに60度ずつ周囲に円孔を6個配置した場合の疲労強度を検討している。2種類のケースが考えられるが、この配置によるき裂発生と進展の実験的解析を行っている。
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