研究課題/領域番号 |
22560073
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
梅澤 修 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (20343171)
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研究分担者 |
諸岡 聡 横浜国立大学, 工学研究院, 研究教員 (10534422)
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キーワード | 疲労き裂 / ひずみ不整合 / 不均一変形 / 中性子散乱回折 / 粒応力 / 完全拘束モデル |
研究概要 |
ひずみ不整合に基づいたき裂発生モデルを構築し、高強度合金の極低応力振幅における疲労き裂発生について統一的・学術的理解を導き、強加工などの非平衡プロセスを利用して製造する高強度合金の疲労破壊と長寿命・安全設計への材質制御の指針とつなげることを最終目標としている。 平成23年度は、Ti合金(HCP)における不均一変形がもたらす(0001)粒応力の形成について、完全拘束モデルを発展させたモデル解析と中性子回折実験による粒応力の検出から微小き裂形成モデルを提示した。そして、組織形態と集合組織の異なるTi合金を用い、疲労き裂発生点を構成するファセットを結晶学的に同定し、微小き裂形成について実験結果との整合性を得た。特に、(0001)面を応力軸に平行に配向した場合でも、(0001)面の割れをきっかけに集合組織を有する柱面へと微小き裂の成長が生じることを見いだした。高Si鋼の疲労破断試験片の組織解析においては、EBSD解析および反射電子像による転位下部組織の検出に成功し、粒界近傍の応力集中場の存在と局所変形の関係について検証結果を得た。また、オーステナイト鋼における{111}<110>すべりの組み合わせによる粒応力の形成について解析を進め、粒界面に垂直に応力場が残留することを導いた。 今後は、高疲労強度化因子を抽出し、提案するき裂形成モデルの一般化を検討する。すなわち、変形組織形成において駆動する変形モードと局所変形において駆動するモードの違い、ひずみ不整合部を起因として微視き裂がどのように形成するのかについて検討を加える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度研究項目の継続に加え、(4)疲労変形下部組織の形成とき裂形成、および、(5)混粒組織による高疲労強度化設計の2課題についても検討を進めてきており、研究計画に沿って進行できている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は最終年度であり、ひずみ不整合と結晶組織を反映したき裂発生挙動のモデル提案へと展開し、高疲労強度化設計に結びつけるよう、実験結果のとりまとめを行う。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は特にない。
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