研究概要 |
チャイルドシート使用中の子ども乗員の自動車側面衝突事故では,子どもの頭部がドアに衝突し,重篤な傷害を受ける頻度が高い.現在,子どもの側突事故時の傷害防止のためにISOや国連ではチャイルドシートの側面衝突試験法が検討されている.しかし,これらの試験では頭部への衝撃負荷が小さく,頭部傷害が評価できない.本研究は側突事故時の子どもの頭部傷害の要因を明確にすることを目的としており,申請者らが考える仮説(側突事故時の子どもの頭部傷害の要因はチャイルドシートの誤使用と子どもの初期姿勢による)を子どもの衝突ダミーと人体モデルを用いた有限要素解析,およびダミーを使った台車実験によって明らかにする. 本年度は米国の事故データから,運動量保存則にもとづき衝突時の車両運動を求めた.衝撃時に車両に加わる速度変化や力積をまとめ,斜めの衝突角度が頭部とドアとの衝突の重要な要因であることを特定した.子どもは自然な姿勢のまま衝突していることが多いこともわかった.また,子どもの生体力学にもとづき,子ども(3歳児)の有限要素モデルを作成し,文献データとの検証を行った.ダミーと比較して,子ども有限要素モデルは屈曲方向は柔らかく,側屈方向はやや柔軟性が低いことがわかった.さらにモデルの修正を行う.実車側面衝突シミュレーションモデルと,台車実験モデルを作成し,両者の乗員応答がよく一致していることを示した.
|