研究概要 |
本研究は傾斜機能材料に代表される機能性不均質導電材料からなる構造物を対象として,周囲磁場の周期的変化を受ける場合の熱誘起振動や熱衝撃という動的応答の問題に関する数理解析に取り組もうとしたものである.すなわち,磁場の周期的および衝撃的時間変化により誘起される渦電流損の熱負荷と,ローレンツカを同時に受ける不均質導電材料からなる構造物の電磁熱弾性問題の数理解析方法の確立を図り,数値計算による定量的評価を行って,電磁熱弾性応力と変形の準静的挙動,電磁熱誘起振動と電磁熱衝撃の動的応答に及ぼす不均質材料物性の効果の解明を目指したものである.今年度の研究で得られた成果は以下のとおりである.1.非定常磁場により導電性中空円筒に誘起される電磁熱弾性応力の動的および準静的挙動を取り扱った.電磁場,温度場,弾性場の平面軸対称条件の基礎方程式を定式化し,磁場,渦電流,温度場,動的および準静的な応力と変形の解析解を導出した.解析解を用いた数値計算により,正弦関数状のランプ関数による応力と変形の衝撃的応答および準静的挙動を明らかにした.2.周期的な外力および温度変化による不均質材料特性を持つ長方形板とはりの曲げ振動を数理解析した.数値計算を行って,周期的外力による曲げ振動と周期的加熱による曲げ振動との間の相互干渉に及ぼす長方形板の形状の影響を検討した.その結果,磁場の周波数による応力と変形の準静的挙動に対する動的応答の増幅係数の影響を解明した.3.磁場の正弦的時間変化を受ける導電性長方形柱の電磁熱弾性問題の数理解析を取り扱った.渦電流により生じる二次元非定常温度変化および平面ひずみ状態での応力の解析解を導出した.解析解を用いた数値計算により,長方形柱の温度変化および応力に及ぼす磁場の周波数の増加による表皮効果の影響を明らかにした.
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