研究概要 |
研究目的/アルミ合金(AC8A)ピストンに対して熱・機械的負荷の厳しい燃焼室付近に強度的に優れ,アルマイト処理に適するアルミ合金展伸材(A6061)を摩擦圧接により接合し,従来の鋳物の欠点を払拭し,耐久性向上を目指す. 初年度の主として得られた知見を挙げると以下のとおりである. 1.摩擦圧接試験片を用いた引張試験,疲労試験(H22.9~H23.8); ・A6061の熱処理条件は,回転曲げ疲労試験,引張試験,シャルピー衝撃試験を総合して,T6処理が平均的に優位. ・A6061の時効温度が250℃であっても極端な強度低下は見られない. ・AC8A-T6とA6061-T6を接合すると,摩擦熱により界面付近は軟化し,強度が著しく低下し,最弱部位となるため,接合後熱処理が必要となる. 2.摩擦圧接による接合界面付近の金属組織的特性の把握(H22.12~H23.8); ・接合強度の高い接合条件による界面付近の微視組織をSEM観察すると,中間層は薄く,組織欠陥(ボイド)はほとんど見当たらない. ・接合界面付近をEDX分析することにより,界面付近の金属組成を明らかにできた. 3.接合界面近傍のボイド発生と成長を考慮した破壊特性を表現できるGurson構成式の改良(H22.11~H23.3); ・適切な接合条件下では,接合界面近傍にボイドは見当たらない. ・摩擦圧接によるピストンモデルを作成し,実働状態を想定した構造解析により構造上の問題点を顕在化した.従来の一体型鋳物ピストンにはない高応力発生箇所を確認したが,接合界面付近は応力的に特別留意する必要はないことが分かった.
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