研究概要 |
1)タングステン繊維強化チタン複合材料(以下W/Ti複合材)の製作に成功した.繊維強化材料の製作方法として従来の鋳造法ではなくスポット溶接およびTIG溶接を用いた方法を考案した.この結果,高温炉,一方向凝固システム,真空チャンバー,高真空ポンプなどの装置が不要となり,きわめて簡便な方法でW/Ti複合材を製作可能となった.断面観察および成分分析の結果,W/Ti複合材中の繊維配列は整然と入れされており,タングステンとチタンとの接合も良好であることが確認された.また,W/Ti複合材の引張強度は約20%向上していることも確認された. 2)W/Ti複合材に対して,X線を用いた室温~700℃の高温その場測定に成功した. タングステン繊維およびチタン母材それぞれの初期残留応力および熱応力をその場測定で測定かのとなった.測定の結果,タングステン繊維は初期の圧縮応力がさらに増加し1GPaを超える圧縮状態となった.また,チタン母材は初期の圧縮状態から引張へと移行した.また,両者の応力値は弾性モデルを用いた理論計算と一致した. 3)繊維強化材内部の応力測定をW/Ti複合材に対して行う場合,中性子応力測定法を使用する必要がある.今年度は中性子応力測定を視野に入れ,タングステン繊維を高分子材料中に配列した繊維強化材を別途製作し,透過法を用いた)線応力測定を行った.高分子材料に対してX線は十分透過するため,金属に対する中性子とほぼ同じ測定が可能となる.その結果,良好な測定結果が得られたことから,今後は中性子を用いたW/Ti複合材の内部応力測定を行う.
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