研究概要 |
1)X線による残留応力測定法の検討:チタンはHCP構造の上,X線の吸収が大きく回折線ピークが非常に弱い.現在までの研究の結果,CuKα特性X線を使用し213回折面を用いて測定が可能となっている.しかしながら他の回折面を用いた測定は実用的な回折線強度が得られず,高温その場測定には不適当であった.チタンの測定条件を検討後,W/TiおよびC/Ti材の初期残留応力を測定した。エメリー研磨で繊維部分を露出させ測定に供した.その後,スポット溶接および試料整形時の加工残留応力を除去するためにひずみ取焼鈍を行い,その後,繊維と母材の熱膨張係数差による熱残留応力を測定して,その値を初期値とした. 2)X線による熱応力その場測定:X線回折装置に試料高温炉をセットし,室温から700℃までの加熱サイクル過程でのその場測定を行った.長時間の測定が必要となるため,加熱速度,測定温度などの測定条件を最適化すると共にコンピュータ制御で24時間自動運転とした.応力測定はエメリー研磨した表面に対して行い,高温その場測定の温度プログラムとして段階的な温度変化を与え,室温から高温状態となり,その後再度室温に戻った状態を1サイクルとし,タングステン繊維およびチタン母材の双方に3サイクルの繰り返し温度変化を与えた.変化させた温度の範囲はタングステン繊維の場合,室温から700℃の範囲で測定を行った.また,チタン母材においては加熱温度が650℃を越えた時点で酸化チタンが生成され,本来測定するはずのチタンのピークが測定できなくなったことからチタン母材の温度範囲は室温から500℃とした.
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今後の研究の推進方策 |
震災の関係で,日本原子力研究開発機構の中性子応力測定装置が使用できない状態である.そのため,インドネシアでの中性子測定を計画し,先ほどその採択通知を受けた.平成24年度はインドネシアにおいて極低温その場応力測定を行う.なお,中性子を用いた高温その場測定については,インドネシア側と相談検討する.
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