研究課題
本研究では,常に振動にさらされる機械構造物において,多軸振動(ボルトの軸方向・軸直角方向振動)を受けるボルト締結体の疲労特性について調査を行い,ボルト締結体の安全設計手法の確立を目的としています.また本研究成果に基づいた「ボルト締結体の疲労設計プログラム」の開発を目標としています.本研究では,初年度である平成22年度に,これまで確立されていなかった「軸直角方向振動を受けるボルト締結体の設計法」を確立しました.また平成23年度には,「軸方向振動と軸直角方向振動を同時に受けるボルト締結体の疲労試験装置」を設計開発しましたが,実験装置の改善が24年度まで時間を要したため,23年度内には本格的な実験は行えず,この点については当初の予定からは若干遅れを生じました.しかし,並行して行っていた「自動車用ホイールナットの形状がハブボルトの疲労強度に及ぼす影響」については十分な結果を得ることができ,平成24年度に論文掲載までを行いました.平成24年度は,実験装置の再改修のために実験開始が遅れましたが,「軸方向振動と軸直角方向振動を同時に受けるボルト締結体の疲労試験」を行いました.実験は,まずボルト締結体に軸直角方向振動のみが作用した場合について行い,次に軸直角方向荷重と軸方向荷重が同位相で作用した場合,軸直角方向荷重と軸方向荷重が1/4位相ずれて作用した場合の3条件で行いました.その結果,軸直角方向振動のみでは疲労破断しない軸直角方向振動であっても,軸方向荷重がボルト締結体に重畳して作用する場合,疲労破断することが分かりました.また,軸直角方向荷重に軸方向荷重が同位相で作用した場合は,位相が1/4ずれた場合に比べて,見かけ上の疲労強度は低下することも分かりました.現在,「軸方向振動と軸直角方向振動を同時に受けるボルト締結体の設計支援プログラム」の開発は現在進めている段階です.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本機械学会論文集A編
巻: 78巻,791号 ページ: 1013-1022